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Une reflexion sur les chansons populaires japonaises

Bulletin of the Faculty of Education, Yamaguchi University Volume 30 Page 111-126
published_at 1980-12
Title
日本民謡についての一考察
Une reflexion sur les chansons populaires japonaises
Creators Hoshihara T.
Source Identifiers
私は,現在,日本民謡の採譜と,その歌唱法に専念している毎日である。これまで,外国の歌曲ばかりうたってきた私が,どうして日本の民謡に取り組むようになったのかというと,今から10数年前にさかのぼらなければならない。それは,私かイタリー留学中のことであった。あるイタリ一人から,「何か日本の歌をうたってくれ。」といわれ,日本のある歌曲をうたったところ,そのイタリー人は,私に向って,「お前のうたった歌曲は,言葉は日本語だが,その音楽はドイツのものだ。だから,日本の歌というよりは,むしろ,ドイツの歌だ。」と云ったのである。私は,このイタリ一人から云われた言葉を,今も忘れることが出来ない。これまで,日本人の詩に,日本人作曲家により,作曲された歌曲であれば,当然,日本の歌曲と思い込んでいた私にとっては,この言葉から受けた衝撃はあまりにも大きかったのである。しかし,それは,むしろ,日本歌曲に対する私自身の無智を指摘されたことの方が,大きかったのかも知れない。しかし,考えてみるに明治以降,西洋文化の影響による我が国の大きな変化は,音楽の分野においても,その例外ではなく,これまでにない新しい西洋音楽の芽ばえとなり,今日に至っているのである。そんななかで日本歌曲の誕生をみているのであるから,これらの多くの日本歌曲が西洋音楽の手法を取り入れて作曲されてきていることは当然のことと言わざるを得ない。そして,西洋音楽の手法を取り入れ,西洋的な音楽のなかに,いかにして日本の抒情を,また日本の心を表現しようとしてきたことであろうか。私は,このような流れのなかに,日本歌曲の歴史をみる思いがすると同時に,そこに,大きな意義を感ずるのである。しかし,このような考えをもちながらも,日本の音楽を待った,本当の意味での「日本歌曲とは」という,自分への問いかけを続けてゆくうちに,私は,民謡という素晴らしい宝物を発見することが出来たのである。そして,私は,この民謡に,私かこれまで学んできた,西洋音楽の声楽発声を取り入れることにより,これまでにない,新しい民謡の歌唱法の研究を進めてゆくべく,これに専念するようになったのである。
Languages jpn
Resource Type departmental bulletin paper
Publishers 山口大学教育学部
Date Issued 1980-12
File Version Not Applicable (or Unknown)
Access Rights metadata only access
Relations
[ISSN]0286-0597
[NCID]AN00240238
Schools 教育学部